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木造の医療・福祉施設【モクピタル】

木造の医療・福祉施設【モクピタル】

なぜ木造の建物が地球環境にやさしいのか?

木材が育成される森林の成長過程

木材が育成される森林は、その成長過程において多くの二酸化炭素を吸収し、木材になってからも炭素を固定し続けます。木材は再生可能な天然資源であり、製造エネルギーの極めて少ない建材のひとつとして知られています。環境にやさしい「エコマテリアル」と呼ばれている所以です。つまり、木材は二酸化炭素固定装置であり、木材は二酸化炭素の塊である、ということができます。

住宅一棟当たり(約38坪)の炭素放出量

木は生物にとって優しい環境を作り出します。静岡大学での実験で、ハツカネズミを木製、金属製、コンクリート製の3種類の箱にそれぞれ入れて経過生存率を比較した結果、23日目の生存率は木製が85%、金属製が41%、コンクリート製が7%と大差があることが判明しました。また、成長度も木の箱で育ったネズミは他のふたつより約2倍も良いことが確認されています。

特別養護老人ホームの入居者を対象にした全国社会福祉協議会の調査でも、インフルエンザに罹る患者、ダニ被害、骨折、不眠の項目で比較したところ、木材利用の多い施設の状態が明らかに優れているという結果が出ました(1994年高齢者、障害者の心身機能の向上と木材等効果検討委員会報告)。このように、木材環境は人間の生活にとって大切な健康で快適なぬくもりの空間を提供できる優れた素材であることが実証されています

これまで数は多くありませんが、木造の高齢者施設での入居者の感想を集めてみると

① 木の香り、木の香りで安らぐ

② (木の床は)たとえ転んでも衝撃が小さく危険が少ない

③ 床の音が人の気配を伝えてくれる

④ 余計な緊張感が無くなる、リラックスできる

⑤ やさしい気持ちになり、入居者同士が仲良くなる

⑥ 冬暖かく、夏涼しい

等の感想が集まっています。

このように木造環境は、入居者のQOL(生活の質)の向上に大きく貢献しているようです。

子マウスの生存率(温暖期)

なぜ木造の建物が「こころとからだ」にいいのか?

木と環境性能 木の感覚
・温度と湿度の調整機能がある
・適度な吸音性と遮音性をもつ
・優れた断熱性をもつ
・優れた調湿作用がある
・木材には光沢と質感があり美しい
・適度な弾力性で衝撃を緩和する
・蝕感覚がよく適度な温冷感がある
・抗菌性、消臭効果(フィトンチィッドなど)あり、芳香効果による精神鎮静作用もある

つまり

木の効用・効果

木の効用・効果

■建材としての物理的特性

火や熱 ある程度の厚みのある木材は火により表面が炭化しても炭化層が火の進行を止め、内部の強度は低下しない
強 度 比重に対する強度は、引張り強度は鉄の3倍、コンクリートの120倍、圧縮強度は鉄の3倍、コンクリートの10倍

木のいのちの流れ

原木から木材加工そして建物へ

木造の医療施設の設計

木造の福祉施設の設計

大型木造施設・病院の設計

木のいのちの流れ

原木から木材加工そして建物へ

木造の医療・福祉施設の設計

大型木造施設・病院の設計

なぜ今、木造の大型医療保健施設の建設が可能になったのか?

■準耐火構造2階建てが可能に

近年、自然環境への配慮、省エネ、快適性などの様々な 視点から木造の価値が見直されています。

2000年に建築基準法が改正され一定の性能基準のもと木も鉄やコンクリートと同様に使えるようになりました。

さらに2010年国交省が低層の公共建築や公共性の高い病院、福祉施設には木造を奨励する法律を選定するなど、木造を推進する動きが始まっています。

1987(昭和62)年 高さ13m、軒高9mを超える大規模木造が建築可能に
準防火地域で木造3階建が可能に
2000(平成12)年 性能規定化により木造による耐火構造や木質材料の不燃材料としての認定可能に
2010(平成22)年 「公共建築物利用促進法」公布
国が整備する公共建築を低層は原則全て木造化、内装については木質化推進を明記
2012(平成24)年 介護老人福祉施設等の耐火基準の見直し 公布
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、短期入所生活介護事業所及び介護予防短期入所生活介護事業所の設置基準を改定
→【2階又は地階に居室を設ける条件を満たす場合】…準耐火建築物でも可能に

主要構造部準耐火構造(法2条9号の3イ)

【ここでいう準耐火建築物とは】

準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造(法2条9号の3イ)又はそれと同等の準耐火性能を有するもので外壁の開口部で延焼の恐れのある部分に防火戸を有する建築物のことをいう

大型木造医療福祉施設のいまとこれから

このように近年の法改正により、大型の木造施設が建設可能になりました。

学校建築を手始めに有料老人ホームなどの医療福祉施設が大型木造施設が作られるようになってきています。

大型木造建物は2階建てで準耐火構造の必要がありますが、その規制をクリアすれば、内装材には木をそのまま使うことも可能です。

燃えしろ計算基準によれば柱などの構造材も表しにできます。

内装にふんだんに木を使った、木の生命力にあふれた優しく温かい環境を作り出すことが可能になります。

これらの環境にも人にも優しい建築のあり方は、これからの持続可能な世界に向けてとても大切になるのではないでしょうか。

大型木造医療福祉施設

大型木造医療福祉施設

木造、大・中規模建築のコスト2016年秋

ご存知のとおり、建設コストはここ数年ウナギのぼりです。

これまでの平成不況と職人の大量退職により建設労働者は嘗てないほど減少しました。

これにより受注のキャパシティが大きく減少したところに、近年の建設好況の反動もあり、建設費は大きく高騰しています。

そこで、昨今の建設コスト概算を構造別に下記に比較してみました。

例えば、床面積:500坪の有料老人ホームを例にとり概算コストを比較すると

床面積 概算坪単価 およその建設費 減価償却年数
木造の場合 500坪 80~100万/坪 4~5億円 15~17年
鉄筋コンクリートの場合 500坪 100~120万/坪~ ~6億円~ 39年
鉄骨造の場合 500坪 90~110万/坪 4.5~5.5億円 29年

また、木造は減価償却の耐用年数が低く設定されているため税制上有利となります。

これまでの大工さんの勘に頼ったエイヤの世界から、
現在は厳正な規格に沿った木材の製品管理がされています。木の病院研究会

■なぜ今、木造か?

21世紀は環境の時代であり、環境問題を避けては通れない時代を迎えています。建設全般についてももちろん「資源循環型社会の構築」へ向けてそのかたちを変えて行かなければならない時代に来ています。そこでこれまでの建設のあり方を全面的に見直し、地球環境とこれからの建設のあり方を全面的に見直す必要に迫られています。京都議定書の拘束期間がが始まった今、全世界において国や業種を問わず、温室効果ガス削減のためのあらゆる努力をしていかねばなりません。そこで注目されているのが「木材」です。木材が育成される森林は、その成長過程において多くの二酸化炭素を吸収し、木材になってからも炭素を固定し続けます。木材は再生可能な天然資源であり、製造エネルギーが極めて少ない建材のひとつです。このような観点から、木材は代表的な環境にやさしい材料「エコマテリアル」と呼ばれています。これからは、この木材を生かした建物の建設が期待されています。さらに日本においては、戦後の植林がいま伐採期を迎えおおきく手入れを行う時期に来ています。

平成22年(2000年)10月、森林整備と公共建築物などの木造化を進める法律が施行されました。これを受けて国は2010年に「低層の公共建築物は、原則的にすべて木造としなければならない」と言う方針まで定められました。森林整備と林業の活性化をきっかけに、都市やまちの”森”化の推進、CO2の固定化による環境への貢献、ぬくもり・温かさが感じられる素材に優しさといったメリットを生かし、いま木造建築が大きな期待を集めています。これまで、原則的にすべて鉄筋コンクリート造、鉄骨造であったことを考えると大きな方向転換です。

エコマテリアル

医療施設や高齢者施設の木造化はどうなっているの?

学校などの木造化は積極的に文部科学省などが推進している現状ですが、同様に木造化が期待される 医療福祉施設についてはまだまだ取り組みはあまり進んでいないのが現状です。 急性期の病院はさておき、多くの患者さんが慢性的な病気を抱えて長期の治療が必要な療養型の病院や 入院環境のあり方が患者さんに大きく影響する精神科の病院、また療養環境のあり方が入居者に大きく 影響する擁護老人ホームや老人保健施設、ケアハウスやグループホームなどの居住施設などは木造の持 つメリットを十分に生かすことのできる建物であるはずです。 では、現状はどうかというと、現在までに療養型病院、精神病院ともに本格的な木造建築はまだのよう です。 特別養護老人ホームやケアハウスの方は、枠組壁工法(2×4工法)の特別養護老人ホームはかなり大規模なものがこの九州でもすでにいくつか出来て、実際に使われているようです。ただ他の工法での木造 耐火の老人施設は九州では未だないのが現状のようです。 私の知るところでは、現在山口県で、木造の在来工法を活用した全国初の大規模木造耐火建築の特別養 護老人ホームが出来つつあります。先日、見学してきましたが、木造でもここまで出来るのか…という 大規模な施設でした。これからこのような木造建物がどんどんできると日本の施設のイメージもずいぶん 変わっていくのではないでしょうか。

ハートホーム宮野

完成した山口の特養「ハートホーム宮野」

山口県内で先ほど完成した特別養護老人ホームです。大臣認定による1時間耐火建築。延床面積は3875㎡で国内最大級の木造3階建ての建築物です。

木造の病院施設研究会

■木造の病院施設研究会(モクピタル研究会)

顧 問
九州大学大学院 人間環境学研究院元教授 竹下輝和
大分大学工学部 福祉環境工学科教授 井上正文
福岡市住宅都市局元局長 松井愛人
福岡県住宅供給公社理事長 田辺清喜
社会医療法人天心堂会長 松本文六
実 務
設計事務所 (有)永田建築事務所永田誼和
(株)木石舎佐々野尚文
(有)福岡構造宮田俊英
木材供給 (株)工芸社・ハヤタ専務 中村勝博
同研究会事務局 幹事 (株)木石舎佐々野尚文

この度、医療保健施設を木造化考える研究会を発足させ、現実化へ向けた研究、活動を始めました。

木造のホスピタルを研究、推進するこの研究会を「木造の病院施設研究会」と名づけました。

当会の活動は

  • ①木の構造体が、鉄やコンクリートと同等に活用できる素材であり、十分な耐力もある素材であることを実際の建設を通して実証していく
  • ②木という素材の持つ生理的効果、心理的効果、情緒的効果などの優れた建築材料であり、今後の医療福祉現場において有用な建築素材であることを実際の建設を通して実証していく
  • ③ ①,②の実践を通し、医療福祉建築における木造利用の新しいカタチを創り出す。

こういった活動をすすめています。ご期待下さい。